教授,准教授,講師,助教,何が違う?どう違う?大学教員の職位について解説

教授,准教授,講師,助教,何が違う?どう違う?大学教員の職位について解説

学生
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大学の先生って,「教授」とか「准教授」とか肩書が違うけど,何が違うの?
私達は何て呼んだらいいの?🤔

学生も目にすることの多い「教授」などの職位ですが,何が違うのかよく分かりませんよね。
私も学生の頃は,単に「教授の方が偉いんでしょ?」くらいの認識でした。

そこでこの記事では,大学教員の職位について,実際にその組織の中にいる私なりの解説をしてみたいと思います。
記事の内容⬇です。

  • 大学教員の職位(教授,准教授,講師,助教)の紹介。
  • それぞれの職位の違い。
  • 職位の違いによる上下関係。
  • 学生はどのように呼ぶのがいいか。

です。
小ネタというか,雑学みたいなものですので,気楽に読んでみてください。

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特に,教員の間では職位が違っても上下関係がない(少なくとも私の知る限り文系学部では)というのは意外で面白いと思いますので,ぜひ最後まで読んでみてください。

1.職位の順番

大学教員の職位の順番としては,「教授」←「准教授」←「講師」の順番で昇格していきます。
この記事に出てくる「助教」はちょっと違って,講師以上と直接のつながりはほとんどありません。

年齢や業績(=論文や著書)によって昇格していきます。
また,年齢の違いもありますが,職位が上がると基本的には給料,年収も高くなっていきます。

ちなみに,職位としては「教授」の方が上ですが,だからと言って,「准教授よりも教授の方が偉いか」と言えば全然そんなことはありません。
教授だろうが,准教授だろうが,講師だろうが,基本的には「同僚」です。
いわゆる「上司と部下」の関係ではありませんので,ちょっと特殊かもしれませんね。

60歳の教授が30歳の講師のところに行って,「◯◯先生,先生の専門のここのところ,詳しく教えてくれませんか?」なんて聞くことは日常の風景です。
年齢が下でも,その人の専門分野についてはやはり専門の人の方が詳しいですからね。

ちなみに,教員同士が「◯◯先生」と呼び合うか,「◯◯さん」と呼び合うかは人によりますが,「先生」呼びが多い気がします。
私は個人的には「◯◯さん」呼びをしたいですが,様子を見ながらやってます(笑)

2.教授

2-1.大学教授とは

大学教員と言えば,「教授」という言葉を連想する人が多いと思いますし,実際,年齢的な問題もあって,教員の中では教授が一番多いように思います。

職位としては准教授の上になります。
年齢的には,大学や教員の事情によって様々ではありますが,早いところで40代前半から,一般的には40代半ば~後半くらいからの職位になります。
(学部によっては違うこともあるかもしれませんが,それほど大きな差はないと思います。)

准教授から「昇格」したり,他の大学から赴任した時に「教授」として赴任するといった形になります。

2-2.教授と准教授の違い

教授と准教授の間には,基本的にほとんど差はありません。
誤解を恐れずに言えば,「肩書が違うだけ」と言ってもいいレベルです。

細かい違いを挙げれば,

  • 教授は博士課程の指導をするが,准教授は担当しない。
  • 学部長などは「教授から選ぶ」となっている。
  • 給料が上がる。


といったあたりです。
ただし,博士課程担当はあくまで原則で,現実には准教授も担当していたりします(その分野の指導をできる教員が准教授しかいない場合などです。)。

また,学部長についても仕事が増えるだけで,多くの人は「やりたくない」と思っています(笑)
学部長だからと言って偉いわけではありませんし…

給料については年齢の違いもありますが,同じ年齢なら准教授より教授の方が高いことが多いです。
ただ,大学によっては准教授と教授で給料が変わらない場合もあります(たとえば,年齢だけで決まっている場合など)。

2-3.准教授から教授になるには

大学を移る際に職位が変わるということもありますが,同じ大学に所属している場合,准教授から教授になるには「昇格」する必要があります。
「昇格審査」とか「昇格人事」といったものを通過する必要があります。

この基準は大学によってそれぞれ違うので一概には言えないのですが,基本的な要件は2つです。

  • 年数,年齢
    →准教授昇格から◯年以上,学部卒業から△年以上,など。
  • 業績
    →准教授昇格後,学術論文を◯本以上(うち,査読付き△本以上)など。

これに加えて,「博士号」(=博士論文を書いて審査をクリアするともらえるものです)を持っていることが条件に加えられたりします。

余談:教授職をめぐる争いはある?

職位は,上の2つの条件など,大学ごとに定められた条件をクリアすれば,教授の「イス」を争うようなことはなく昇格できるのが基本です。


ただ,大学によっては教授職の「枠」(=人数)が決まっていて「順番待ち」をしなければいけないなんてこともあるらしいです。
私の知り合いの教員(国立大学の教員時代。今は私立大学にいます。)がそうだったようですが,その知り合いの場合は,給料は准教授でも教授でも差が出ないように配慮?されていたそうです。


また,テレビドラマ(医学系)では,「教授」の職位をめぐって争う様子が描かれていたりするが,少なくとも私の知る限りでは,あんなにドロドロとした争いは見たことがありません。
医学部などは違うのか,,,それは分かりませんが,あくまでエンターテイメントとして観るのがよいと思います。

3.准教授

3-1.大学准教授とは

准教授は,職位としては教授の下,講師の上,となります。
年齢的には,やはり大学や教員の事情によって様々ではありますが,早いところで30代前半~,一般的には30代半ば~40代半ばくらいまでの職位になります。

大学教員の中では「若手~中堅」という位置づけで,講師から「昇格」したり,他の大学から赴任した時に「准教授」として赴任するパターンがあります。

ちなみに,昔は「助教授」と呼ばれていましたが,2007年の学校教育法の一部改正によって「准教授」に変わりました。
これは,助教授というと,教授の補佐的な意味合いに見えてしまうものの,実際は,准教授も教授と同じように独立して研究・教育を行うことを明確にする意図があったそうです。

先ほど,教授も准教授も講師も「同僚」だと書きました。
こういう事情を考えても,「准教授」の方がしっくりきますね。

3-2.准教授と講師の違い

准教授と講師の間にもそれほど大きな差はありません。
やはり,肩書が違うというくらいのイメージです。

一番の違いは,准教授は大学院(修士課程)の講義を担当するのに対して,講師は基本的に大学院の担当はしないというくらいでしょうか。
年齢や給料にも違いはありますが,これは当然といえば当然ですね。

3-3.講師から准教授になるには

講師から准教授になるのも,准教授から教授になるのと同じように,昇格審査,昇格人事を通過する必要があります。
年数,年齢や業績の基準は教授昇格と異なると思いますが,はやり一定の年数や業績が必要になります。

4.講師

4-1.講師とは

講師というと,塾講師などがイメージされるかもしれませんが,大学教員にも講師という職位があります。
ここでは,講師は「専任講師」のことを指しますが(非常勤講師のことではなく),職位としては准教授の下になります。

年齢的には,早くて20代後半~30代半ばくらいまでが多いです。
大学教員の中では「かなりの若手」という感じですね。
20代で「専任講師」(任期の定めのない,つまりいわゆる「終身雇用」です)になれたら相当早いです。
かなり順調,優秀だと認識されます。
大学教員の職を得るのはかなり大変で,なかなか就職が決まらなかった人などは,年齢にかかわらず最初は講師から,というケースも多いです。
私の知り合いでも,40代を超えていても講師というケースが複数あります。

4-2.大学講師になるには

教授や准教授とは違って,基本的に講師に「昇格」というケースはとても少ないです。
一応,職位としては,講師の下(と言っていいか微妙ですが)に「助教」というのがありますが,助教から講師というのは直接的につながっていないことがほとんどです。

ですから,講師になるというのは,同じ大学で昇格するというより,就活(=教員を募集する「公募」に出す)をして新しく大学に赴任するパターンがほとんどです。

大学教員の就活で一番大変なのがここなんですよ…
大学教員の就職については,「大学教員になるには」といったテーマで改めて記事にしようと思観ますのでお待ちいただければと思います。

5.助教

5-1.助教とは

助教は,職位としては常勤の教員の中で一番下に位置します。
2007年の学校教育法の一部改正で,「助手」が「助教」と「助手」に分けられました。

助教も,講師以上と同じように自ら教育研究を行うという位置づけですので,授業も担当しますし,独立して研究もします。
助手は,その名のとおり,アシスタント的な位置づけになり,基本的には授業は担当しません。
私の知る限り,少なくとも文系学部では(理系学部のことは詳しく分からず申し訳ないです),ほとんどは助教で助手はほとんどいません。
ですので,この記事では助手についてはこれ以上触れません。

この「助教」という職位が,「准教授」に変更される前の「助教授」に似ているので,最初に聞くと訳が分からない状態になりますが,助教と助教授は全くの別物です。

年齢的には,大学院博士課程の後に最初のステップとして就くことの多い職位ですので,20代後半くらいから30代前半くらいが多いです。

5-2.助教と教授,准教授,講師との違い

助教は,講師以上の職位とは色々と違うところがあります。
具体的には,

  • 常勤だが学内行政には基本的に関わらない。
  • 講師以上の職位に直接つながっていないことが多い(=講師に「昇格」できるケースはほとんどない)。
  • 基本的に雇用期間が定められている。

です。
順番に説明していきます。

①学内行政には関わらない

学内行政といっても色々なものがありますが,代表的なもので言えば,教務委員や入試委員といった委員を担当しないということです。
学部の教員の会議である「教授会」にも参加しないケースが多いです。
入試問題の作成業務にも携わりません。

助教は,基本的には割り当てられた初年次教育を中心とした授業を担当し,あとは研究をするというイメージです。
各教員の専門科目(たとえば,ミクロ経済学など)を担当することは少ないです。

②講師以上の職位に直接つながっていない

講師→准教授→教授というのは,同じ大学の中で「昇格していく」というルートがありますが,助教から講師への「昇格」は基本的にありません。
一部,テニュアトラック付きの助教(=任期中の業績の評価によって,任期なし,つまり,講師などへの道があるもの)もありますが,かなり少ないです。

③任期が設定されている

講師以上の場合には,任期がない(=いわゆる終身雇用)ケースが多いですが,助教は任期が設定されています。
※最近は講師以上でも任期が設定されているケースも少しずつ増えています…
その年数は大学によって違いますが,1年,3年,5年などの任期があります。

これは,厳密にいえば,1年契約を更新する(たとえば3年任期の場合,1年契約+2回まで更新できますよ,という契約)ものですが,いずれにしても,この期間を過ぎると雇ってもらえません。
たまに,「そんなこと言っても実際は何とかなるんでしょ?」なんていわれたりしますが,これは本当に更新できません。
その任期の間に次の就職先が見つからないと,,,考えるだけで恐ろしいですね…

講師以上の職に就けるか,もしくは,他の任期付きの職で繋ぐか,などなど,この時期が大学教員の中で精神的にかなり大変な時期です。

5-3.大学の助教になるには

助教は大学院生が最初に就くことの多い職位で,大学教員の職への第一歩という感じです。
助教になるには,それぞれの大学が出す募集(=公募)に応募して,書類審査や面接を通過する必要があります。

助教の場合には,広く募集を募るものと,その大学の院生などから採用するもの(内部枠などと言われたりします)があります。
内部枠の場合は競争率が下がりますが,これはその大学が院生を育てて,教歴や職歴を付けさせてあげようとする制度だと理解しています。
場合によっては,優秀な院生を囲おうという意味もなくはないですが,メインの理由ではないです。

6.学生は「先生」呼びが無難

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ところで私達学生は先生の職位を呼び分けた方がいいの?🤔

大学生はその教員の職位なんて気にすることはほとんどないでしょうし,違いも分からないですよね。
教員からすると,「◯◯教授」なんて言われたりすることもありますが,その度に心の中で「いや准教授なんだけどね」なんて思ったりします(笑)
(もっとも,学生が知らないであろうことも気にしないであろうことも分かっているので,それに対して何か言う教員は少ないです。)

というわけで,結論から言えば,

全員「先生」で呼んでおけばOK!

です。

7.その他の職位

大学教員の多くは(非常勤講師は別として)ここまで紹介してきた職位のどれかに当てはまります。
ただ,少ないながらもいくつか違う職位もあって,

  • 名誉教授
  • 客員教員(客員教授など)
  • 特任教員(特任教授など)

といったものがあります。
なおさら分からなくなってきますね(笑)

「名誉教授」というのは,なんか凄そうな名前ですが,これはほとんどの場合その大学を定年退職した教員が授与されるものです(勤続年数の条件などもあったりはすると思いますが)。
既に退職した教員ですから,定年退職後も非常勤で授業を担当したりしない限りは,学生が接することは少ないですね。
(学会には定年後の先生方もよく出席されますので,そこではよくお見かけします。)

客員教員特任教員については,,,こんなことを言っては怒られそうですが,「よく分からん」というのが本音です(笑)
一応説明すると,どちらも期間を定めて非常勤で勤務する教員で,大学運営などには関わりません。
特任教員は,「特定有期雇用教員」のことで,特定のプロジェクトに合わせた期間就任するようなケースです。

客員教授や特任教授には「教授」が付いていますが,最初に説明した「教授」とかかなり違います。
研究とは直接関係なく,特定の分野で大きな実績を残した方(たとえば,池上彰氏や栗山監督など)が就任することもあります。

まとめ

以上,教授,准教授,講師,助教,その他の大学教員の職位について解説してきました。
簡単にまとめておきます。

  • 職位としては上から「教授」→「准教授」→「講師」。
  • 講師の下に,直接は繋がらないが任期つきの「助教」がある。
  • 職位による「偉さ」の違いはなく,教員は横並びの同僚。
  • 学生は,呼び分けずに「先生」でOK。

です。

学生も「職位」自体はよく目にするものの,違いについてはよく分からないというものだと思います。
覚えないといけないものでもありませんので,小ネタ程度に読んでもらえたら嬉しいです。
それでは最後まで読んでいただきありがとうございました。

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適宜追加します。

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