大学のレポートの書き方 レポートの種類,タイプの見分け方と評価のポイント

大学のレポートの書き方 レポートの種類,タイプの見分け方と評価のポイント

記事の紹介

記事の内容

・大学のレポートの書き方
・出題されたレポートを3つの種類,タイプに分類
・種類,タイプごとの特徴やレポートを書く時のポイント

この記事を書いた人

とべお
とべお

現役大学教員(私立大学,経済学部)
学生と接する中で伝えたいたくさんのことをブログ(サードゼミブログ)で発信中。
ゼミ論・卒論だけでなく,講義科目でもレポートの出題と採点をしている。

学生
学生

大学生になってレポート課題が出されるようになったんだけど,書き方も分からなくて…
大学のレポートの書き方を知りたい!

大学生になると急に「レポート課題」が当たり前のように出されるようになって,「えぇ…いや,そんないきなり書けって言われたってさ…」と困る学生も多いと思います。
実際に,基礎ゼミナールなどで学生に聞いてみると「レポートの書き方を知りたい」という声が多いです。

そこで,「大学のレポートの書き方」を解説していこうと思うのですが,かなりのボリュームになりそうなので,何回かに分けてシリーズとして解説していきます。

この記事は「シリーズ第一弾」として,「出されたレポート課題の種類の見極め方」「種類別の特徴や評価のポイント」について解説していきたいと思います。

レポートの種類の分け方は特に決まったものがあるわけではありません。
一般的に,「論考型」,「自由記述型」,「実験型(試験型)」に分けられると言われますが,この記事では内容に即して「要約型,試験型」「内容当てはめ型」「自由設定型」の3つに分けています。

文系の講義系科目を想定しているので,「実験型レポート」(主に理系の実験結果をまとめるもの)や「活動報告レポート」(課外活動やフィールドワークの成果報告をするもの)は含めていません。

この記事を読んでもらえれば,出題されたレポート課題がどのタイプであるのか,それぞれのタイプのレポートを書く時のポイントが分かります。
レポート課題の評価を高めることができると思いますので,ぜひ最後まで読んでみてください。

1.大学のレポート課題が求めるもの

まず前提として,この記事で想定しているのは「ゼミ以外」の科目です。
比較的小人数の講義系科目や演習系科目(実習系科目など)が多いです。
大人数の講義系科目でレポート課題が出されることもありますが,教員としては,

とべお
とべお

人数が多いと採点がメチャクチャ大変。
やりたくねぇ…

というのが本心です。
ですから,履修者の多い講義系科目で実施されることはあまり多くないように思います。

ゼミでも活動「報告」のレポートなどはあるかもしれませんが,ゼミで書く文章のメインは「ゼミ論文」や「卒業論文」です。
レポートと論文の違いについてはこちらの記事をご覧ください。

(ゼミではなく)講義系の科目で出される課題だということは,レポートで評価の対象となるのは,

  • 講義の内容をしっかり理解しているか?
  • 講義の内容を踏まえて考えることができているか?

ということになります。
これらを見ようとするなら,レポート課題の内容も何となく想像できるはずでして,

  • 講義の内容そのものを問うもの。
  • 講義の内容を踏まえて考察,応用するもの。

となってきます。
大事なことは,ゼミのように「かなり自由に設定されるということは少ない」ということです。
教員側である程度正答に近いイメージの解答が想定されているということです。

その上で,この記事では「テーマ」「使う(当てはめる)講義内容」という2つの観点からレポートのタイプを3つに分けます。
イメージとしてはこのような感じ⬇です。

テーマ使う(当てはめる)
講義内容
1.要約型,試験型指定指定
2.内容当てはめ型(パターン①)指定自由
3.内容当てはめ型(パターン②)自由指定
4.自由設定型自由自由

それぞれのパターンはこの後詳しく解説していきますが,どのタイプに当たるかはこの「テーマ」と「当てはめる講義内容」がいくつ指定されているかで判断できます。

  • 指定が0個 → 要約,試験型
  • 指定が1個 → 内容当てはめ型
  • 指定が2個 → 自由設定型

結構分かりやすいですね。

2.要約型,試験型

まずは「要約型,試験型」のレポート課題について解説していきます。

2-1.レポートで見ようとしているもの,特徴

要約型,試験型のレポート課題は,単純に,「講義の内容を理解できているか」を見ます。
イメージとしては,試験の記述問題に近いです。

このタイプは,レポート課題として出題される頻度はあまり高くないと思います。
その理由は,「それなら記述試験にすればよくね?」となるからです。
他のタイプに比べて採点はしやすいので(単純に内容が合っているかどうかを見るので),やるとすれば比較的履修者の多い講義系科目でしょうか。

2-2.要約型,試験型レポート課題の例

要約型,試験型レポートは,「テーマも指定されていて,内容も基本的には正解になるものが想定されている内容」になります。

科目によって内容は全く異なりますが,イメージしやすいように例を載せてみましょう。

要約型,試験型レポート課題の例

新古典派における財市場の価格決定メカニズムについて説明しなさい。

といった感じでしょうか。
中学生や高校生なら,「需要曲線と供給曲線の「バッテン」になってるところで値段が決まるんだよ」,とか,「高い時には売りたい人のほうが多くて(需要<供給),安くなると逆になる」と答えるでしょう。

大学のレポートでこうした答えをすることはなくて(しても点数はもらえないです),需要曲線と供給曲線をそれぞれ導いて1つのグラフとしてまとめて・・・という価格決定メカニズムの内容を詳しく書いていく必要があるわけです。

そして,この例を見てもらえれば分かる通りですが,教科書や講義の内容をしっかりまとめられればよくて,答えのパターンもある程度限定されます。

2-3.評価のポイント

このタイプのレポートの評価ポイントは,とにかく,「講義の内容をしっかり理解できているかどうか」です。

そして,意外に感じるかもしれませんが,このタイプの課題は結構点数が低い傾向があります(体感です)。
その理由としては2つくらい考えられると思っていて,

  • 教科書や資料の「コピペ」,「つぎはぎ」になりがち。
  • 講義の内容(説明の仕方)と違う説明の仕方をしているものを持ってきてしまう。

というものがあります。
どちらも似たような結果になるのですが,それは「パーツごとに見れば合ってるんだけど,つながりがおかしい」というものです。

テーマも内容も指定されているので,教科書や資料の該当箇所はすぐに分かります。
しかし,それは教科書を書いた人や資料を作った人の言葉であって,学生自身の言葉ではありません。

教科書や資料の該当箇所が分かっていたら,ついそのまま使いたくなってしまいますよね。
しかし,自分の言葉ではない(書いた本人ではない)ので,内容や行間を上手く理解できていないことがよくあります。

②の理由も同じで,ある問題に対してAとBという2つの説明の仕方があったとします。
全体の説明の中である部分はAの説明の仕方,ある部分はBの説明の仕方をしてしまって,A→Bに切り替わるところで「???」となってしまうパターンです。

これ,結構説明が難しいんですが,イメージ的にはこのような⬇感じです。
早いボールの投げ方を教えてと言って,

アドバイザー
アドバイザー

体重移動と体の回転をボールに乗せられるようにするのが大切だから,グゥ~っと溜めてスバッと投げるんだ!

と言われるようなイメージです。

この何とも言えない違和感が分かりますかね?
途中までは言葉で科学的な説明をしている感じが,途中から「オノマトペ」と呼ばれる「擬音,擬態語」を使った説明に変わっていますよね。
(逆に伝わらないですかね…?(笑))

話を戻して,講義での説明と違う方法での説明が一部に混ざっていたりすると,

とべお
とべお

講義の内容は聞いてなくて,ネットで調べてとりあえずくっつけてみたのね。

と感じてしまいます。
分かりづらいと思うので例を挙げてみましょう。

先ほどの例題で,供給曲線を導いているところを考えてみましょう。
この時,

  • 供給曲線は「操業停止点より上の限界費用曲線」であることを説明。
  • 縦軸を「価格」にした供給曲線を描く。

という部分だけを考えます。
この2つの「パーツ」はそれぞれ正しいことを書いているのですが,①の時点では縦軸は「限界費用」なんですよ。
その縦軸が最終的に「価格」になるんですが,そこには,「利潤最大化のもとでは価格=限界費用だから縦軸が「価格」になる」という説明が必要なんです。

レポートでは,このように「一見すると些細なことに見えるところ」がスルーされがちになります。
大事なことなのにスルーしてしまうと,「分かってないんだな,聞いてなかったんだな,とりあえずそれっぽいところだけを繋げてるんだな」となってしまいます。

極端ですがイメージしやすい例にすると,

  • A=Bである。
    (B=Cである,が省略されてしまう)
  • A=Cである。

と書いてしまうようなイメージです。
パーツごとに見れば合っているのに,全体としてみるとおかしい,こんなイメージです。

2-4.書き方のポイント

ということは,要約型,試験型のレポートを書く時のポイントは自然と分かってきます。

  • 自分の言葉で書く。
  • 講義での説明の仕方に合わせて書く。

多少の間違いやニュアンスのズレがあってもいいので,「自分なりの言葉で説明すること」を心掛けてください。

そうすれば,「自分なりに考えて書いているんだな,コピペやつぎはぎではないんだな」となりますし,それは高評価につながります。

大学では「覚える」ことよりも,ちゃんと「理解する」ことが大切です。
これは,大学のテスト対策,大学の勉強の仕方にも共通する大切なポイントです。
こちらの記事も参考にしてみてください。

3.講義内容当てはめ型

次に講義内容当てはめ型のレポートについて解説します。
このタイプはさらに,「テーマ」と「当てはめる講義内容」の組合せによって2つのパターンに分けられますが,ここでは一緒に解説していきます。
講義内容当てはめ型のレポートは,「テーマ」と「当てはめる講義内容」のどちらかが指定されているレポート課題です。

3-1.レポートで見ようとしているもの,特徴

講義内容当てはめ型のレポート課題も,「要約型,試験型」と同じように「講義の内容を理解できているか」を見るものではあります。
ただ,内容をそのまま要約するのではなくて,例えばテーマが指定されているパターンでは,「講義の内容を理解していれば,この例に講義の内容を当てはめて考えられますよね?」という課題です。

講義内容の当てはめは自分で考える必要があるので,言ってしまえば,「強制的に自分の言葉で書かせるもの」といった印象でしょうか。

このタイプのレポート課題は結構出題しやすいです。
その理由は,

  • ただインプットするだけではダメ。
  • インプットした内容を応用できるだけの理解が必要。
  • (自分の言葉で)アウトプットしないといけない。
  • ある程度解答を想定できるので採点もやりやすい。

といったものが挙げられます。
私も自分がレポートを課すならこのタイプにしています。

このタイプのレポート課題は自由度が高いと見せかけて,実はそれほど自由度は高くありません。
それは出題する教員側がある程度固まった解答を想定しているからです。
実際には「講義の内容が理解できているかを見ている課題」ということです。

3-2.講義内容当てはめ型レポート課題の例

ここでも具体例を見てみましょう。
このタイプのレポートには,「テーマ」と「当てはめる講義内容」のどちらを指定しているかで2つのパターンが考えられます。

パターン①
(テーマは指定,当てはめる内容を自分で考えるパターン)

最低賃金1500円への引上げ(2024年衆議院選挙の論点の1つだった)の是非,課題について,経済理論の観点から講義の内容を踏まえて論じなさい。

この例では,最低賃金の引上げというテーマは指定されていて,その結果起こると考えられることを理論的に考察するという課題です。
単純なところで言えば,最低賃金の引き上げを「労働者の所得増加」や「家計消費の増加」の点から考えるのか,「企業のコスト(人件費)増加」から考えるのか,などなど,どういった内容から考察するかは自分で考える必要があります。

パターン②
(テーマは自由,当てはめる内容は指定されているパターン)

自身の日常生活の中で,「囚人のジレンマ」と「ナッシュ均衡」に相当するのではないかと考えられた事例を挙げ,具体的に説明しなさい。

はい,今度は逆に,当てはめる講義内容は「囚人のジレンマ」,「ナッシュ均衡」ということで指定されています。
そして,これに当てはめて考えることができると思う「具体例」を自分で考えましょう,という課題です。

3-3.評価のポイント

講義内容当てはめ型レポートの評価ポイントも,やはり「講義の内容をしっかり理解できているかどうか」です。

講義の内容がしっかり理解できていないと,「テーマ」と「講義の内容」を上手く対応させることができません。

提出されたこのタイプのレポートの評価は分かれやすいかなというのが個人的な印象です。
よく書けているレポートと,点数がかなり低いレポートに分かれやすいと思います。

講義の内容を踏まえれば,レポートの大枠は自然と決まります。
講義の内容を理解していないと,その大枠から外れた頓珍漢なレポートが出てきます。
ですから,講義に出席して,ちゃんと内容を理解している学生とそうでない学生が分かりやすく分かれるという印象です。

3-4.書き方のポイント

このタイプのレポートを書く時のポイントは,

  • 講義の中の「どの部分に当てはめるか」を自分で考える。
  • 講義の内容に当てはめられる具体例を,対応が分かるように詳しく書く。
  • それらが伝わるように自分の言葉で書く。

です。
大切なことは,「ちゃんと講義の内容を理解していますよ」,「ちゃんと自分の言葉で書いていますよ」と伝えることです。

4.自由設定型

最後に,自由設定型のレポートについて解説します。
講義科目で課されるレポートの中で一番自由度が高いもので,「テーマ」も「当てはめる講義内容」も指定されていないものです。

4-1.レポートで見ようとしているもの,特徴

自由設定型のレポート課題も,やはり目的は「講義の内容を理解できているか」を見ることです。
講義内容当てはめ型では指定されていたものも,自分で考える必要がある課題です。

このタイプのレポートは一番自由度が高いですし,自分の興味のある内容にすることができますが,「完全に自由に書いてね」というものではありません。

完全に自由に好きなことをやるというのは,やはりゼミなどで取り組むことです。
あくまでも講義系の科目で課されるレポートは「その講義の内容に関する範囲で自由に設定する」ものです。
(そうでなければ,その科目の内容を修得しているかどうかを見るレポートになりませんし,それで成績を付けることはおかしな理屈になってしまいます。)

繰り返しの紹介ですが,レポートと卒論・ゼミ論の違いについてはこちらの記事をご覧ください。

4-2.自由設定型レポート課題の例

具体例を見てみましょう。

自由設定型レポート課題の例

自分が関心を持ったニュースを1つ選び,講義で扱った経済理論的観点からそれらの問題について論じなさい。

講義内容のどの部分に関連するものを扱うか,それに当てはまる具体例やテーマは何か,その両方を自分で決める必要があります。
繰り返しですが,自由と言っても「その講義の内容に関連するもの」であることを忘れないでくださいね。

4-3.評価のポイント

自由設定型レポートの評価ポイントも同じく「講義の内容をしっかり理解できているかどうか」です。
講義の内容がしっかり理解できていないと,「テーマ」と「講義の内容」を上手く対応させることができませんし,その難易度は片方が指定されている講義内容当てはめ型よりも高くなります。

このタイプのレポートも良い評価と悪い評価に分かれやすい(二極化しやすい)です。
よく書けているレポートも提出されますが,あまり評価の良くないレポートも多いです。
その理由は,

  • テーマ設定からして安直なものが多い。
    (その時の世間的な話題などに丸々引っ張られているものが多い)
  • 自分なりに考えず,調べたものを切り張りするケースも多い。
  • そうなると結局オリジナリティがない「つぎはぎレポート」が出来上がる。

からです。
反対に,自分でしっかり考えているものは,テーマの設定理由も明確でオリジナリティがあります。
こういうレポートは,内容に多少の粗さがあっても評価は高くなります。

4-4.書き方のポイント

自由設定型レポートの書き方のポイントは,

  • オリジナリティがある。
    (=教科書やネットでよくある例ではなく,自分の身近な具体例などで書けている)
  • 自分で考えて書いている。

です。
ここは,前の2つのレポートとは結構違いありますね。
自由設定型の自由度の高さからくるポイントとなっています。

まとめ

大学のレポート課題の書き方について,まずはレポート課題のタイプを3つに分けて解説しました。
簡単にまとめておきましょう。

  • レポート課題のタイプは3つに分けられる。
     ・要約型,試験型(テーマも内容も指定)
     ・講義内容当てはめ型(テーマ,内容のどちらかが指定,どちらかが自由)
     ・自由設定型(テーマも内容も自由に設定)
  • 判断基準は,「テーマ」と「当てはめる講義の内容」がいくつ「指定されているか」

です。
レポートのタイプに応じて書き方も高評価を得るためのポイントも多少変わってきますから,まずはレポートのタイプを適切に見極められるようにしましょう。

それでは最後まで読んでいただきありがとうございました。
レポートの書き方はシリーズで追加していきます。

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その他適宜追加します。

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