現役大学教員目線 大学のレポートにチャットGPTなどのAIを使うとバレる?バレない?

現役大学教員目線大学のレポートにチャットGPTなどのAIを使うとバレる?バレない?

記事の紹介

記事の内容

・大学のレポートにチャットGPTなどのAIを使ってよいのか。
・チャットGPTなどのAIを使うとバレるのか。
・AIを使った場合の成績評価はどうなのか。

この記事を書いた人

とべお
とべお

現役大学教員(私立大学,経済学部)
学生と接する中で伝えたいたくさんのことをブログ(サードゼミブログ)で発信中。
チャットGPTを使ったと思われるレポート,記述試験の解答に遭遇するようになって対策に悩まされ中…

学生
学生

大学のレポートとか試験の記述問題にチャットGPTとかのAIが生成した文章を使っても大丈夫?
やっぱりバレる?
成績評価はどうなるの?

2022年末頃にチャットGPTがものすごく話題になりました。
そして,それなりに多くの学生が「これ,レポートに使えるんじゃね??」と一度は考えたのではないでしょうか。

実際に,当然と言えば当然ですが,大学でも色んな意味で話題になっています。
私も,チャットGPTを使ったと思われるレポートに遭遇しています。

この記事では,そんな私の経験や周りの教員からの話を踏まえて,大学生のチャットGPTなどのAIを利用して大丈夫か,という学生の疑問に答えていきたいと思います。
先に結論をお伝えしておくと,

使わないほうがいい,使ったら高確率でバレる

です。
学生にとっては残念ながら,ですが…

これはこの記事を書いている2024年9月時点での評価なので,技術がさらに進歩すれば変わる可能性も(すぐに変わる可能性は高くはないですが)なくはないです。
その場合は適宜更新・修正していきます。

この記事を最後まで読んでもらえれば,大学のレポートや記述試験などでチャットGPTを利用して大丈夫かどうかを,大学教員の視点から知ることができます。
ぜひ最後まで読んでみて下さい。

1. チャットGPT(AI)をレポートに使う学生はどのくらいいる?

チャットGPTは2022年11月にOpenAI社より発表された会話型AIサービスです。
日本語対応版は2023年5月から利用できるようになって,かなり話題になりました。

会話型なので,聞きたいこと入力すると,それに対する回答をAIが文章として生成してくれます。
数秒~数十秒で回答が出てくるので,調べものをする時なんかにとても便利です。

ということは,,,

学生
学生

レポートの課題とか,記述問題の質問をしたら答えを返してくれるのでは??

となります。
必然ですね(笑)

学生としては,

学生
学生

ラッキー!
ラクができる!

と思ったと同時に,

学生
学生

使って大丈夫か?

バレるか?

という葛藤が生じたことでしょう。

本題に入る前に,チャットGPTを利用している学生はどのくらいいるのでしょうか?
結論としては,

とべお
とべお

います。

というか,結構います(体感)

全国大学生活協同組合連合会が2023年10~11月に実施した調査では,学生の約5割が利用経験あり約3割が継続して利用していると回答しているそうです。
そして,利用用途として最も割合が高いのは「論文・リポート作成の参考」とのことでした。
※「参考」というのが微妙な表現で,コピペ以外も含む選択肢になっている点に注意です。

引用元(全国大学生活協同組合連合会 第59回学生生活実態調査 概要報告)はこちらです。

ネット検索などをすると,「チャットGPTを使った大学生向けのレポート作成」なんてものがあったりします…

2.チャットGPT(AI)を使うとバレるのか?

学生にとってはこれが一番気になるところだと思いますが,結論から言えば,

高確率でバレます。

ということになります。
(あくまでも2024年9月時点での状況ですので,「学生の書いたレポートっぽいレポート」を書けるようになったりしたら分かりませんが…)

ちなみに,ネット検索をすると「バレない,バレる可能性は低い」といった記事の方が多いようです。
ただし,大学教員として学生のレポートを見ている私の意見としてはそんなに甘くないと思います。
その理由はこの後解説していきます。

では,なぜバレるのでしょうか?
実際に学生のレポートを見た感覚からその理由を解説していきたいと思います。
理由としては,主に3つくらいが考えられます。

  • 学生が書く文章じゃない。
  • 内容が間違っている,講義の内容(レポートに求められているもの)に合っていない。
  • 同じ内容が複数提出されてくる。

順番に解説していきます。

2-1.理由①学生が書く文章じゃない

これは学生も認識していると思います。
だからこそ,「生成された文章を自分で修正」したり,「生成AIチェッカーでチェックする」なんてことをしたりするのだと思います。

我々大学教員は,学生が書く文章を普段から見ています。
それを基準にすると,やっぱりAIが書いた文章は「全然違う」,「違和感だらけ」なんですよ。

生成AIチェッカーなどは「AI特有の言い回しや語彙」の偏りから判断して「バレないように」修正するようです。
たしかに,そういう部分もありますが,我々教員が気づくのはそこだけではありません。

学生が書いてくる文章は,程度の差はありますが「文法的な誤り」とか「変換ミス」とか,そういったものが入ってきます。

これはほとんどの学生に共通することで,論理的に文章を書く訓練って,高校までだとほとんどやらないはずです。
(文章を書くことはあっても,それを細かく指摘・修正される経験はほとんどないと思います。)

ですから,これは大学生の能力的な問題ではなく,単に慣れてないだけです。
私も,学生時代の文章を見ると結構恥ずかしくなりますし,大学院生の頃は(もしかすると今書いた文章でもかもしれませんが(笑))指導教授に大量の「赤ペン」を入れられていました…
先生,ありがとうございます…

話が逸れてしまいましたが,要するに,「学生はこなれていない文章」を書いてくる「はず」なんですよ。
それなのに,,,AIが生成した文章は文法的な誤りはほとんどないわけです。

これが我々大学教員にとっての一番の「違和感」です。

2-2.②内容が間違っている,講義の内容(レポートに求められているもの)に合っていない

「見た目の違和感」は先ほど説明したとおりですが,AIが生成した文章は内容的にも違和感満載です。

大前提として,大学のレポートでは「すでに答えが出ている問題をレポート課題にすることは多くない」んです。
こちらの記事⬇️でも書きましたが,高校までは「一般的に正しいとされることを教わる」のに対して,大学では「答えが分かっていないこと」や「一般的な常識と異なることを扱う」ことも多いです。

大学の授業は高校までの授業とどう違う?違い5選を紹介(講義形式編)

そして,ここがポイントなのですが,教員によって考え方,説明の仕方,主張が違うんです。
しかも,傍から見るとほとんど差はないものの,ちょっとした表現の違いで「全然意味が違う」と感じることもあるわけです。

AIの生成する文章は,「これが正しいですよ」という答えが出ている問いに対しては機能しますが,大学で扱うような問題には対応しきれないというのが特徴です。

そして,こうした問いに対するAIの解答あるあるなんですが,「色々言っているようで結局何も言ってない文章」を書いてくるんですよ。

たとえば,

AI
AI

〇〇と言われている。一方で□□という問題も指摘されることがある。

みたいな文章を書いてきます。
こういうものを見ると,

とべお
とべお

で?

結局何が言いたいの?

何も言ってないよね。

となります。
政治家みたいに,実質何も言ってない文章を書いてくるのがAIの特徴です。
これはバレますわ(笑)

実際,私がレポート課題として出したものは,現在進行形の問題を扱ったものでした。
その結果,AIを使ったと思われるレポートの内容は「古いうえに間違ったこと」を書いてしまっていました。
学生が思う以上に分かりやすいものです。

2-3.③同じ内容が複数提出されてくる

これはすぐに分かると思いますが,AIを使う学生が複数いると,ほとんど同じ内容(しかも,講義の内容に一致しないものとか間違っているもの)が複数出てくることになります。

1つだけでも十分怪しいのに,同じものが複数出てくると,,,ほぼ確定です。

実際,本当にAIを使ったかどうかは本人以外には分かりませんが,教員は使ったものと判断して成績を付けることになります。

ネット記事などだと,できるだけ多くの詳細なプロンプトを与えて,課題の内容に対応させる(大学生であること,文字数指定すること,文章形式でまとめること,具体例を挙げること,などなど)みたいなことが書かれていたりします。
私が自分で出した課題に対してそのようにしてみましたが,AIの解答は0点の解答で,やはり似たり寄ったりな回答でした。

2-4.AIの文章を自分で修正すればバレなくなるか?

さて,ここまでの解説を読んだ方の中には,

学生
学生

そのままだとバレるなら,語尾とかを自分で修正すればバレないのでは?

と考える人がいると思います。
実際,チャットGPTを使ったレポートの書き方について解説した記事では,できた文章を自分で修正するように勧めています。
たしかに,若干はバレづらくなると思いますが,正直ほとんど変わらないと思います。

その理由は2つです。

  • 文言を修正しても,先ほど書いたバレる理由の①にしか対応できていない。
  • 現実的にほとんどの学生には無理。なぜなら,
    ・語尾などの最低限の(小手先の)修正しかできない。
    ・すでにある文章をガッツリ修正する気力,勇気がある学生は多くない。

そもそも,ラクをしようとしてAIを使った人が,手間をかけてガッツリ修正するとは思えません。
それに,AIが書いたものを「ここは間違っているから修正しよう」と判断できる学生は多くないでしょう。
(というか,それができるなら最初から自分で書いた方が早いという…(笑))

AI生成チェッカーの考え方も基本的にはこれと同じだと思いますので,正直あまり効果はないだろうと思っています。

ちなみに,レポートの採点の際にAIコンテンツ判定ツールなどで判定をすることがあるので,その対策としても有効といったことが書かれていたりしますが,個人的な意見を言わせてもらえば,

とべお
とべお

そんなもの使うまでもないよね。

というレベルで分かりやすいです。

3.バレるかどうかチャットGPTに聞いてみた

ここでちょっとお遊びですが,チャットGPTに「大学のレポートにチャットGPTを使ったらバレますか?」と質問してみました。

チャットGPT様の回答は以下の通りでした。

チャットGPTの回答①

「大学のレポートでチャットGPTを使うこと自体が「バレる」かどうかについては、いくつかのポイントを考慮する必要があります。

1.文章スタイルの違い
教授や指導者は、学生一人ひとりの文章スタイルをある程度把握している場合があります。もし、チャットGPTを使った文章があなたの普段の書き方と大きく異なっていたり、異常に高度であったりすれば、不自然さに気付かれる可能性があります。

2.盗作検出ツール
多くの大学では、レポートに対して盗作検出ソフトウェア(TurnitinやGrammarlyなど)を使用しています。チャットGPTが生成する文章は一から作成されるため、一般的には他の資料からの直接的なコピペとは見なされませんが、AIによって生成されたコンテンツかどうかを検出する技術も徐々に進化しています。

3.AI検出ツールの存在
最近では、AIによって生成された文章を検出するためのツール(例:GPT-2 Output DetectorやAI Text Classifierなど)も存在します。これらのツールは、文章がAIによって書かれたかどうかを一定の精度で判別できるため、大学がそのようなツールを導入している場合は、AI利用が発覚するリスクが高まります。

4.AI使用に関する大学の規則
多くの大学では、AIツールの使用に関して明確な規則やガイドラインを設け始めています。レポート作成にAIを利用することが禁止されている場合、それが発覚した際には、学業不正と見なされることがあります。そのため、大学の規則をよく確認し、必要に応じてAIの使用を申告することが重要です。

結論
チャットGPTを使うことで「バレる」リスクはゼロではありませんが、そのリスクは使い方次第です。自分のアイデアやリサーチを元にして、チャットGPTをあくまで参考に使う程度にとどめ、自分の言葉でしっかり書くことが推奨されます。最終的には、あなたの大学の方針に従うことが重要です。」

どうですか?
いかにもAIらしい文章が返ってきました。
色々とツッコミどころはありますが,やはり「バレるかどうか,その可能性が高いかどうか」に対して明確に答えません。
(ちなみに,チャットGPTの解答の部分は読点「、」で私の文章は全角カンマ「,」ですね。こういうところも調整して揃えないと,コピペがバレます(笑))

そこで,「バレる可能性は高いのですか?それとも低いのですか?」と更問いしてみました。
長いので要点だけ引用すると以下のようなものでした。

チャットGPTの回答②

「チャットGPTを使ったことが「バレる」可能性は、いくつかの要因によって変わりますが、現時点では「状況によって変動するが、一定のリスクがある」というのが正確な答えです。では、リスクが高い場合と低い場合を具体的に見てみましょう。
…中略…
全体としてのバレるリスク
現時点では、完全に「高い」とも「低い」とも断言するのは難しいです。ただ、大学がAI検出ツールや盗作検出ツールを使用していなければ、バレるリスクは比較的低いです。一方で、検出ツールが導入されていたり、教授が文章の質に違和感を覚えたりすれば、バレる可能性は高くなります。
最善策としては、チャットGPTを参考にしつつも、自分の言葉でしっかり書き直すことです。これにより、リスクを最小限に抑えることができます。」

はい,予想通りですね。
「自分の意見を述べよ」的な問いには答えられない可能性が高いです。
使わない方がいいです。
問いに対して答えていないこんなレポートに点数は付きません。

そして,懲りずに「で,結局高いの?低いの?」と聞いてみました。
するとようやくそれなりの判定をしてくれました。

チャットGPTの回答③

「結論から言うと、現時点ではバレる可能性は「低い」ですが、以下の条件次第で変わります。
大学がAI検出ツールを使用していない:バレる可能性は低いです。
自分の文章としてしっかり書き直す:リスクはかなり低くなります。
普段の書き方との違和感がない:特に大きな違いがなければ、教授に疑われる可能性も低いです。
しかし、今後大学がAI検出ツールを導入する可能性や、文章があまりにも不自然な場合はリスクが高まることもあります。
現時点では、注意して使えばバレにくいと言えますが、長期的にはリスクが高まる可能性もあることを覚えておくべきです。」

ただし,予防線を張りまくった文章ですね。
これもやはり点数は高くないでしょう。

4.チャットGPT(AI)を使った場合の評価はどうなるのか?

学生
学生

チャットGPTを使ったことがバレた場合,バレなかった場合の成績評価はどうなるの?

気になりますよね。
まず,バレた場合ですが,基本的に0点でしょう。
自分で考えてない,自分で書いてもいない,内容もズレている…
点数がつく理由がありません。

次に,仮に運よくバレなかった場合ですが,正直なところあまり評価は高くありません。
先ほど説明したように,講義の内容にうまくマッチした解答を生成AIが出してくることは少ないです。
(あくまでも,大学の講義で扱うものでレポートの課題になるようなものに対してです。)

文法的に誤りがあっても,内容的にちょっと間違っているところがあっても,やはり「自分で考えて書いた文章」の方が評価は高くなるのが普通です。

5.チャットGPT(AI)をどのように使うべきか?

ここまで解説してきたことを踏まえると,この問題に対する結論は簡単に分かると思います。
それは,

そもそも使わない方がいい。

です。
元も子もないですね(笑)
理由は改めて説明するまでもないですが,

  • 基本はバレるうえに,もしバレなくても評価は低い(もしくは点数をもらえない)。
  • 学生には何も身につかない。
  • 教員には無駄な作業をさせることになる。

です。
教員としても,AIが書いてきた同じような内容の,しかもズレている,間違っているものを何度も読まされると,普通にイライラします。
学生にとっても教員にとっても,ただただ無駄な作業になります。

それでも使いたいということでAIを使うならば,調べものとして使う程度にすべきです。
機械的な作業には向いていますし,便利であることは間違いありません。

ただ,それでもやはり,使わないほうがいいことに変わりはありません。

なぜなら,すでに文章としてAIが書いてくれたものを見て,「これをそのまま使ったらラクなのに…」という誘惑に勝てる学生は多くないと思うからです。

だって,それを見たらコピペしたくなりますよね?

逆にですが,チャットGPTを使ったレポートを出してくる学生が一定数いるということは,
「チャットGPTを使ったを使わずに書くという普通のことをするだけで,「お!この学生はちゃんと自分で考えてるな」と相対的に評価が上がるという謎現象が起こります(笑)

ラクをしようとして評価を下げる学生をダシに,自分の評価が上がるなら儲けものですね(笑)
これも本来,本末転倒ですけどね…

まとめ

以上,大学のレポートや記述試験にチャットGPTなどのAIを用いたらどうなるかについて解説してきました。

簡単にまとめておきましょう。

  • 高確率でバレる。理由は,
    ・学生らしくない文章
    ・そもそも内容が合ってない
    ・同じものがいくつも出てくる
  • バレれば評価は0,バレなくても評価は低いことが多い。
  • 調べもの程度でも使わないのが無難(文章で出てきてしまうから)。

チャットGPTなどの生成AIはとても便利ではあります。
日常生活で使うのはいいとしても,大学のレポートや記述試験で用いるのはやめたほうがいいです。

使いたい気持ちはよく分かりますが,残念ながらほとんどいいことはありません。
レポートなどは,文章を書く訓練,物事を論理的に自分の頭で考える訓練だと思って,面倒でもちゃんと自分でやることをお勧めします。

それでも使いたいという学生を止めはしません。
大学生はもう立派な大人ですから,結果を受け入れてくれれば自由にやってもらってかまいません。

それでは最後まで読んでいただきありがとうございました。

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その他適宜追加します。

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