大学の履修はどういうところに気をつけて組んだらいいの?🤔
特に大学1年生にとっては,初めてのことばかりで分からないことも多いですよね。
この記事では,科目の履修登録をする際に気をつけるポイントについて解説していきます。
併せて,大学の科目についての基本的なポイントも整理してお伝えしていきます。
この記事では,これら⬇の内容について解説しています。
- 科目の種類についての基本的な内容。
- 履修登録についての基本的な内容。
- 履修を組む際に気をつけるべきポイント。
この記事は,実際に講義を行う教員としての経験だけでなく,自分自身が学生だった時の経験なども踏まえて書いています。
この記事を読んでもらえれば,履修を組む際の注意点を知ったうえで,安心して履修登録をすることができます。
読めますのでぜひ最後まで読んでみてください。
1.科目の種類の確認と科目の履修
まずは履修登録をする前に必要な基本的なことを確認しておきましょう。
高校までは,授業の時間割というのは基本的に生徒の意思にかかわらず既に決まっています。
(高校でも科目の選択はあります。また,高校によっては自分で時間割を組む高校もあるようです。)
これに対して大学では,どの科目の授業を受けるかを自分で決めます。
要するに,「自分で自分の時間割を作る」というわけですね。
これは「好きなように時間割を組める」というメリットと同時に,たとえ失敗しても結果は自己責任ということを意味します。
だからこそ,履修登録はそれなりに注意しなければいけません。
(「それなりに」,というのは,この記事で書いてあるような基本的なことを押さえておけば,ほとんど問題は起こらないことを意味しています。)
まずは基本的な用語を確認しておきましょう。
- 履修:その科目の授業を受講すること。
- 履修登録:履修することを正式に大学側に伝えること,正式にエントリーすること。
- 単位修得:履修した科目の要求する基準を満たし,「この科目の内容はしっかり修得しました」と認められること。
※決められた数以上の単位を修得すると卒業(あるいは進級)できる。
次に,科目の種類について確認しておきます。
- 必修科目:その科目を履修して単位を修得しなければ卒業できない(あるいは進級できない)科目。
- 選択必修科目:いくつかの科目のうち,決められた数の科目を履修して単位を修得しなければ卒業できない(あるいは進級できない)科目。
- 自由選択科目:必修,選択必修以外の科目。卒業に関係するのは修得した単位の数。
必修科目を落とす(=単位の修得ができない)と,他の科目をどれだけたくさん履修して単位を修得していたとしても,卒業できません。
これだけは取らないとダメですね,という科目です。
必修科目は大学によって異なったりしますが,数は多くありません。
選択必修科目は,たとえば,AとBの科目のうち,最低でもどちらか1つは履修して単位を修得しないと卒業できないといった科目です。
こちらも数は少ないですね。
つまり,多くの科目は自由選択科目になるわけですが,自由に選択できるからと言って何でも自由に取ればいいというものではありません。
その注意点についてはこの後詳しく説明していきます。
大学の科目は,その科目の授業が行われる期間にいくつか種類があります。
- 半期科目(セメスター科目):半期(前期,後期)で完結する科目。週1回の授業×半期15回。
- 通年科目:通年で完結する科目。週1回×通年30回(前期15回+後期15回)。
- ターム科目:半期の半分(8週)で完結する科目。週2回×15回。
現状,一番多い科目は半期科目(セメスター科目)です。
通年科目は数十年前には多かったですが,最近はかなり少ないです。
通年科目とされることが多いのは,ゼミなどの演習系科目です。
ターム科目は徐々に増えてきていますが,まだ多くはありません。
2.履修登録と履修の変更
履修登録はどうやってやるの?一回登録した履修の変更はできるの?🤔
履修登録の方法は大学によって異なると思いますが,今はWeb上で登録する大学がほとんどでしょう。
各大学が整備している授業支援システム(呼び方も大学によって様々です。)から登録をすることになります。
また,多くの大学では履修登録期間の後に「履修変更期間」が設定されていると思います。
この期間内に履修登録した科目の変更ができるはずです。
履修登録期間は,基本的にはこのように⬇なっていると思います。
- 半期科目,ターム科目:4月,9月
- 通年科目:4月
ただし,大学によって異なる可能性もあるので,必ず履修要項等を確認してください。
履修の条件を満たしていれば,基本的に履修登録ができます。
ただし,科目によっては条件を満たしていても希望者全員が履修できないものもあります。
授業の科目にはこのような⬇タイプがあります。
- 通常の登録科目:希望者が全員履修できる科目。
- 抽選登録科目:履修登録できる学生を抽選で決める科目。
(教室の収容人数の問題や,演習系科目のPCの台数制限などが理由。) - 許可制の科目:履修に担当教員の許可が必要な科目。
(演習系の科目やフィールドワーク系の科目など。)
このように,科目によっては希望通りの履修ができないものもあります。
また,抽選登録科目や許可制の科目は,通常の登録科目と登録機関が異なることもありますので注意が必要です。
(もし抽選で外れてしまった場合,他の科目を履修することになると思いますが,登録期間が同じだったらその修正が出来なくなってしまいます。)
3.履修を組む際に注意すること
基本的なことは分かったよ!
じゃあ実際に履修を組む時にはどういうことを意識したらいいの?🤔
面白そうな科目からドンドン取っていけばいいの?🤔
関心のある科目を取るのはとてもいいことなんだけど,いくつか注意点があるから,ここからはその注意点を紹介していくよ。
3-1.卒業要件単位と群要件を確認
履修を組む際に注意すべき点は,まず何と言っても,
卒業用件単位と群要件の確認
です。
これを無視すると,下手をすると「卒業できない」ということになりかねません。
卒業要件単位というのは,大学を卒業するために必要な修得単位の総数です。
細かい数字は大学や学部・学科によって違いますが,大学設置基準では最低124単位となっています。
これは4年間で修得すればよい数値なので,単純計算すると1年あたり32単位を修得していけば卒業要件単位を満たすことができます。
次に,「群要件」について確認する必要があります。
卒業要件単位が124単位であっても,「何の科目でもいいから好きなように124単位を取ればいい」というものではありません。
卒業要件はもっと細かく分かれていきます。
大きく分けるとまず,
- 専門科目(=学部ごとの専門科目)から〇〇単位以上必要。
- 一般教養科目(学部関係なく全学共通で履修できる科目)から△△単位以上必要。
といった形で分かれていきます。
専門科目は,経済学部であれば,たとえば「ミクロ経済学」,「労働経済論」,「公共経済学」といった経済系の科目になります。
一般教養科目は,たとえば,語学系の科目や,他学部の入門的な科目などがあります。
これらの科目はさらに分かれていって,たとえば専門科目がA群,B群,C群に分かれて,A群から□□単位以上,B群から△△単位以上,C群から◇◇単位以上,それぞれ単位を修得していることが卒業要件になっています。
これが「群要件」です。
(たとえば,理論系科目から12単位,国際系科目から12単位,自由選択科目から20単位といった感じです。)
極端な例ですが,4年間で160単位を修得したとしても,ある群の単位が1つでも足りていなければ卒業できないことになってしまいます…
自分の興味のある科目を取るのはもちろん大事ですが,最低限の群要件は確認しておきましょう。
1年生のうちは多少偏っても2年生以降で修正可能ですが,4年生になって時すでに遅し,,,なんてことにならないように注意してください。
3-2.開講年次と履修条件の確認
履修を組む際に注意すべき点の2つ目は,
開講年次と履修条件の確認
です。
大学の科目には,履修できる年次に制限があるものがあります。
開講年次でざっくりと分けると,
- 初年次科目:1年生から履修できる科目。
- 上級年次科目:2年次以降,3年次以降など,履修できる年次が制限されている科目。
となります。
初年次科目は,専門科目の中でも入門的な科目,基礎的な内容を扱う科目になります。
基本的には2年次以降も履修可能ですが,「基礎ゼミナール(プレゼミナール)」などの科目は1年次のみとなります。
上級年次科目は,1年生の時点では履修できませんから,履修を組む際には自分が履修できる開講年次の科目から選ぶようにしましょう。
次に履修条件ですが,科目によっては「◯◯を修了していることが履修の条件」になっていたりします。
たとえば,「中級簿記」を履修するためには「簿記」を履修して単位を取っていることが条件になっている,といったものです。
こうした科目は多くはないですが,うっかり見逃さないようにシラバスなどをしっかり確認するようにしてください。
4.履修の組み方
注意点も分かったよ!
その条件を満たしている科目からどうやって選んだらいいの?🤔
あとはもう,自分の興味と曜日・時限だね!
ここまで説明してきた基本事項と注意点を踏まえていれば,後は自由に履修を組んで大丈夫です。
その際は,何よりも,
「自分の興味・関心があるもの」を選ぶ
ようにしましょう。
もちろん,いざ授業に出てみたら面白かったということもありますが,まずは「自分が取りたい科目」から選んでいきましょう。
ちなみに,「興味のある科目が全然ない」といった場合は,,,これは学生本人の問題だと思います。
ゼミ選びでもそうですが(ゼミ選びと興味・関心についてはこちらの記事に少し書きました。),すべての科目や分野に関心を持てない,というのは学生本人の問題です。
「興味津々です!!」まで行かなくていいですし,「多少は興味あるかなぁ,,,どうかなぁ,,,」でもいいので,少しでも興味のあるものから履修登録をしていきましょう。
履修を組む際にもうひとつ考えるべきことは,
履修する科目の曜日・時限
です。
履修する科目を自分で選べるわけですから,
授業を固めて平日に休みの日を作っちゃおう!
1限の授業は起きられないので履修しないようにしよう!
なんてこともできます。
もちろん,必修科目が入っていたりすれば難しいですし,履修する科目がある程度制限されている1年生などでは難しいかもしれませんが,その中でも自由に組めるのがある意味で「醍醐味」ですね(笑)
そして,3年次以降などは特に,必ずしも「フル単」(履修登録できる上限まで授業を取ること)にする必要はありません。
自分の時間,就職活動,残りの要件単位数,などを考慮しながら,自分なりの時間割を作るようにしましょう。
1,2年を「フル単」で行ければ,3年生はかなり楽になりますし,4年生では単位を取らなくても卒業できる状態に持って行くことも可能です。
(たとえば,1年生=48単位,2年生48単位,3年生=28単位,合計124単位となれば,3年次にはかなり余裕のある履修を組んだ上で卒業が確定します(笑)。
3年で卒業させてほしいですよね…)
4年生の時の授業料がもったいない!!という問題はありますが,その時間をどのように使うかは学生の自由です。
私が大学1年生の時には必修が週6で散りばめられていました…
しかもそのうち4日は必修が1限…
これは何ですかね,たぶん嫌がらせですね(笑)
学生が大学に来ることを習慣づけようとしたのか,真意は不明ですが,逆効果にしか感じなかったですし,いい迷惑でしたよホント…
2年次以降では自由度が上がって,本当に楽になった記憶があります。
いずれにしても,無理した履修を組むと本当に辛いので,甘く見ずによく考えるようにしましょう。
5.履修を組む際に参考にするもの
自由にって言われても,,,何か参考になるようなものはないの?🤔
たしかに,最初は自由だからこそ悩んでしまったりもするかもしれません。
履修を組む場合に参考に出来るようなものとしては,
- 1年生向けの履修相談や説明会。
- 履修要項などに載っている履修のサンプル。
といったものがあります。
履修相談や説明会は,その学部の教員や,大学や学部のほうで依頼した上級年次の学生が相談に乗ってくれたりします。
とりあえずはこのあたりを参考にすれば問題はないでしょう。
そもそも,初年次科目というのは選択肢があまり多くないので,基本的な初年次科目を入れていくと自然と履修の大枠は決まってきます。
あとは,初年次科目の中での選択や,一般教育科目の選択をしていけば履修は組みあがりますね。
逆に参考にしない方がいいものってあるの?🤔
こちらの方が大事かもしれませんが,代表的なものを挙げれば,
- サークルの勧誘文句「履修の組み方教えてあげるよ。」
- 単位が取りやすい(=楽単)かどうかの評判。
といったあたりでしょうか。
サークルの勧誘文句は私も学生時代に何度も言われましたが,その時に思ったのは,
いやそもそもアンタはちゃんと単位取れてんのか?
履修要項見るからいいわ…
でした。
捻くれてますかね(笑)
学生に教えてもらうとしても,大学や学部が手配してくれる学生の方が質が保証されているはずです…
ロクでもないアドバイスを聞いてしまったら逆に悲惨です…
それと,単位が取りやすいかどうかも気にする必要はありません。
こちら⬇の記事で書きましたが,普通にやっていれば単位を落とすことは多くありません。
大学生ですから,自分の時間割は自由に決めればいいのですが,取りやすいかどうかといったくだらないことで決めない方が良いと思います。
まとめ
以上,履修の組み方について解説してきました。
簡単にまとめておきましょう。
- 履修を組む際に重視するのは,
・自分の興味関心
・曜日・時限の組み方 - ただし,次の2つに注意しなければならない。
・卒業用件単位と群要件を満たすように組む。
・開講年次と履修条件を確認した上で組む。 - 分からなければ履修相談や説明感を参考にする。
- サークルの勧誘や単位の取りやすさは気にしない。
特に1年生は,初めて自分で履修を組む人も多くて悩むかもしれません。
この記事で解説したものを参考にしながら,ひとまず組んでみてください。
履修した科目の内容などが「思っていたものと違った」ということは,いい意味でも悪い意味でもあることですし,それもまた面白いな,と思えると理想ですね。
それでは最後まで読んでいただき,ありがとうございましたm(_ _)m
その他適宜追加します。