大学の成績の付け方ってどうなっているの?
絶対評価?それとも相対評価?🤔
大学の成績は,たまに「え?なんで??」と疑問符の渋滞が発生することがありますよね。
もちろん,教員によって違ってくるんですが,今回は大学の成績の付け方の基本的な考え方を紹介します。
この記事では,大学の成績の付け方について書いていきます。
- 大学の成績の区分
- 大学の成績は絶対評価か相対評価か?
この記事は,大学教員として実際に成績をつけて,他の教員と話した経験を基に書いています。
この記事を読んでもらえれば,大学の成績の区分と成績の付け方の基本的な基準が分かりますし,授業への参加や勉強をするモチベーションも上がります。
3分ほどでサクッと読めるので,ぜひ最後まで読んでみてください。
1.大学の成績評価の区分
大学の成績ってそもそも何段階評価なの?
別の大学に通ってる友達はアルファベットだけど,私のは「秀」みたいに漢字だよ🤔
今は基本的に5段階評価だね。
それぞれの点数と評価,GPAの関係はこんな感じ⬇になっているよ。
点数(以上,未満) | 評価 | GPA計算用点数 | 単位修得◯/✕ |
---|---|---|---|
90点以上 | S or 秀 | 4 | |
80~90点 | A or 優 | 3 | |
70~80点 | B or 良 | 2 | |
60~70点 | C or 可 | 1 | |
60点未満 | D or 不可 | 0 | |
欠席(区別しない場合も) | E or 欠 | 0 |
GPAは「Grade Point Average」のことで,直訳すれば「成績平均点」です。
要は,その学生の履修した全科目の平均点といった感じでしょうか。
GPAについてはいずれ別記事にしようと思います。
60点以上を取らないと単位がもらえないって,高校までの「赤点」と比べたら高くて大変そう…😖
と思うかもしれませんが,60点の単位修得ラインは難しくありません。
もちろん,科目や担当者によって違いはありますが,ちゃんと講義に出席して,それなりにテスト前に勉強すれば問題なく取れると思ってくれて大丈夫です。
「単位」については別記事で詳しく書こうと思います。
2.大学の成績の付け方
大学の成績の付け方,特に「絶対評価」か「相対評価」かについて,その理由と併せて説明していきます。
注意点についても書いていきます。
2-1.成績の付け方は絶対評価か相対評価か?
大学の成績評価って,絶対評価と相対評価のどっちなの?
はい,大学生が一番気になるのがここですね。
結論から言えば,
基本的には「絶対評価」になるね。
それに本来,絶対評価であるべきだと思うよ。
となります。
絶対評価とする理由として4つ挙げられます。
- 先ほどの一覧表を見れば分かる通り,基準になる「点数」で区分している。
- そもそも,入試のように「選抜」が目的ではない。
- 試験の難易度などは,担当教員が「この科目ではこのくらいのことを修得して欲しい」と考える水準が基準になる。
- 絶対評価じゃないと,学生などから問い合わせがあった時に明確に答えられない。
教員が「この科目の修得条件として,このくらいのことを分かってほしい」と思う内容の試験を実施して,極端な話ですが仮に全員が90点以上だったとしましょう。
この場合の評価は,
基準を満たしてるんだから全員Sでしょ。
となります。
もし相対評価だったら,90点以上取れているの学生をA~Dに振り分けることになりますが,それだと,
90点以上取れている学生を相対評価でA~Dにするなんて意味不明すぎ(笑)
となりますし,
問題が簡単すぎたっていうなら,そんなもん問題作ったアンタのミスだろ。
となります。
講義形式の科目はほとんどこのパターンでしょう。
明確に点数化するのが難しい「演習形式(=ゼミなど)」では若干勝手が変わるかもしれませんが,基本は同じです。
成績についての問い合わせがあった場合も,「あなたは67点なのでCです。」ならOKですが,「全体の中であまりできていない方だったのでCです。」は通らないでしょう…
次に,こんな⬇疑問が出るでしょうか。
その教員が求める「このくらい分かってほしい」っていうのは決められているの?
それは,基本的に教員の判断に任されているね。
つまり,「教員次第」です。
単位を取る難易度が高い科目と低い科目(=いわゆる「楽単(らくたん)」)があるひとつの理由です。
あの科目,半分以上単位落とすらしいよ…😱
なんて学生の悲鳴を聞いたりしますが(笑),それも教員次第なんですね。
もちろん,あまりにも極端なケース(Sばかり,とか,2割しか単位が取れない,とか)では「苦言が呈される」ことはありますが,強制的に変えさせることは正直難しいです。
こういう人がいると,その対応をしないといけない「教務委員」は頭を悩ますのよ…トホホ…😩
さて,評価の付け方の基本的な点を説明してきましたが,3つほど注意点を上げておきましょう。
2-2.注意点① 「相対評価」の要素が入る場合
大学の成績の付け方は基本的には絶対評価ですが,場合によっては「相対評価」の要素が入る場合があります。
たとえば,試験の平均点が低かった場合です。
平均点が50点で半分以上がD評価(=単位を落とす)になった場合などですね。
これには2つのパターンがあって,
- 教員が試験の難易度の設定をミスった場合
- 難易度は問題なかったが,学生の点数が悪かった場合
①のように教員のミスの場合には,全体を底上げして評価したりします。
私もやったことがあります。
ただ,これは通常その大学の講義を受け持って1年目か,せいぜい2年目くらいまでです。
実際,大学によって学生の学力レベルが違うので,最初は設定を間違えることもあり得ます。
たとえば,東大生相手に作った問題のレベルを他大学の学生に求めるのは実際問題無理ですよね😅
②のような場合,たとえば,去年と同じ問題を使ったのに点数が悪くなった場合などは,点数の調整を行う理由はないですね。
それと,先ほど説明したとおり,ゼミなどの明確に「点数化しづらい」科目の場合には相対評価の要素が入る場合があります。
2-3.注意点② 「相対評価」の教員も実際にいるらしい
次の注意点は,実際の成績評価に当たって「相対評価」にしている教員もそれなりにいるらしいということです。
数年前に成績評価の方法についての,私の所属学部の教員を対象にアンケートが実施されました。
詳しい数値は忘れてしまいましたが,半分くらいの教員が「相対評価」と答えていた記憶があります。
これ,私は
ウソだろ??マジで??😲😲
とめちゃめちゃビックリした記憶があります!
この記事の最初で説明したように,本来絶対評価であるべきだと私は思っています。
相対評価の人も多少はいるかもなぁ…
くらいに思っていましたが,思ったよりずっと多かったです。
もっとも,この「相対評価」の具体的な内容が分からないので,「あまりSが多くても良くないから,少し調整する」とか,こういったものも「相対評価」と答えている可能性もあります。
そう考えると,やはり,
「基本は絶対評価,相対評価を少し入れて調整」
という感じなんだと思っています。
(実際は分かりませんが…)
2-4.注意点③ 他大学の成績との比較には意味がない
最後の注意点として,他の大学の人の成績との比較に意味はありません。
これは分かりやすいですね。
GPAでも同じなのですが,東大生のAと定員割れの大学のSを比較して「S」の方が優れている!とはならないですよね。
そういう意味では,
「この大学の中では「絶対評価」です。」
というのが正しい表現かもしれません。
こういう理由もあって,GPAは就職でもあまり重視されないのでしょう。
まとめ
大学での成績評価の方法について解説してきました。
実際に成績を付ける時には,若干の調整をしている教員もいるかもしれませんが,基本はここで説明した通りだと思います。
簡単におさらいしておきましょう。
- 大学の成績評価は基本的に「絶対評価」
- しかし,いくつか注意点があり,
・試験の難易度や演習科目の性質から「相対評価」の要素が入ることがある。
・実際に「相対評価」としている教員も結構いるようである。
・他大学との成績の比較に意味はない。
大学では,教員の裁量に委ねられている部分が大きいです。
この記事の内容はすべての科目,すべての教員に当てはまるものではないですが,基本的な考えとして理解してもらえるといいかなと思います。
それでは,最後まで読んでいただきありがとうございましたm(_ _)m
適宜追加します。